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ノート

 面接が始まったのが9月、私も含め希望退職者の大半が辞めたのは10月末。希望退職の実施は誰もが想定していたはずだが、いざ自分の身がどうなるのか具体的に想像していた人はどのくらいいたのだろう。私にしても退職の時期がまさか決定から1ヶ月ちょっとしかないとまでは想定していなかった。誰もが拠り所を失い、呆然と、濁流のような運命の激変に翻弄されていた。二人に一人。317人というものすごい数の人たちが一瞬にしてレール上の未来を失い岐路に立たされたのを目の当たりにすると、とても現実とは思えなかった。この2ヶ月はもう二度と経験したくない。

 そうして、私は会社を去ることになった。この半年ほど前、会社に対する失望感を抱えていた私は、同じ気持ちの先輩と話して、起業を視野に入れ始めていた。
 変わっていく社会に対応できず、変化できない硬直した会社に失望もしたけれど、それでも世間の他の企業に較べるとこの会社は人材も社風もよっぽどましのはず。他の会社に就職したとしてもよっぽど今より理不尽に感じる機会が多いことが想定できる。だったら、自分たちで独立して、一生懸命仕事するほうがましなんじゃないか。先輩とそう話し始めたのが春頃。それをいよいよ現実にしようと動くことになったのだった。

 こうして終わった怒涛のような2009年の一年間を私は一生忘れたくない。私が経験したこと、感じたこと、周りの人たち、そのすべてを。多分に自分目線での記録となってしまったけれど、そして、後から読み返すことはないかもしれないけれど、この記録を残すことにはなぜかとても意味があるような気がするのだ。
 2009年は間違いなく私の大きな節目の年だった。この経験があるから、今の私があると、将来の私は言えるだろうか。
 今は、まだ分からないけれど。

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 「私は会社が好きでした。会社というよりこの会社の人が大好きだった。逆に仕事は何でも良くて、私は好きな人たちと仕事をしているのが楽しかったのです」

                2010.3.22 起業目前にした春の日



                ◆おまけ:「退職のメッセージ」
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