思った通り、数フレーズも弾かないうちに、指がもつれ、曲が途切れた。しかし、その音色だけは、以前と変わらず、力強く澄んでいた。
私は、窓辺に寄り、カーテンを開けた。相変わらず、心地よい夜風が吹き続けている。私はもう一度、身体全体で伸びをした。
頭上では、薄雲が払われて、あざやかな満月が姿をあらわしていた。
1993 初秋
初出「オムニバス’93 秋合宿の友:わたしの好きなもの」
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