まだ暖房のつかない早朝のオフィスで私は自分の涙がとても熱いことに気付いた。
涙が寒さで強ばった頬を溶かしていく。
その幾筋かの涙に触発されるように後から後から涙があふれてくる。
いつしか私は声をあげて泣いていた。
すきなものが見つけられそうな予感がします、そう書いた昨日はそれが何なのかわからなかった。
けれど、今ならわかる。
これからの自分をすきになるのだ、と。
ひかりを受けた富士山の衣が、一刻ごとに明るんでいくのがはっきりとみえる。
私は今、夜明けの中にいる。
2001.1
初出「connect-web vol.4」
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