|
だいたい昼ごはんすら食べていない。私は猛烈にお腹がすいていることに気が付いた。
冷蔵庫をあさると、しなびかかった春菊があった。数日前スーパーで見つけたもの。もう春が近いんだなぁと思って買ったはずなのに、その存在すら忘れていた。それから春大根。春キャベツ。冷蔵庫の中にはしなびかかった春の食材がいっぱいあった。
なぜ忘れていたんだろう。私には昨日食べたものだって思い出せなかった。
じっくりと胡麻を炒る。油を引かないテフロン加工のフライパンで胡麻がはぜる。いい香りが立って来た。炒り立ての胡麻をすり鉢にざっと流し入れ、ゆっくりとすりこぎでする。ぷちぷちと胡麻がはじける音。うわっと広がる香り。胡麻はやがてさらさらとした粉状になる。ここまでですり胡麻。ここからさらにすり続けるとじんわりと油がしみ出して来て胡麻は粘度を増してくる。これが練り胡麻。
|
|
|
こんなにのんびりと食事の支度をしているのはいつ以来だろう。すり鉢の中で胡麻が確実に変化していくのがよくわかる。
やがて確実な練り胡麻になったものに、醤油と酢、味噌、それから砂糖とみりんもほんの少し加える。全部をきちんとすりあわせ、だし汁で適当に薄めたら胡麻だれになった。
春大根を千六本に切り、春キャベツは手でちぎる。春菊を軽く湯通しして水気をぎゅっと絞る。それらをお皿に彩りよく並べて作ったばかりの胡麻だれを回しかける。春野菜の胡麻だれサラダ。
|
|
|