お皿を食卓に並べたら、夕方17時のチャイムが空に響いた。外はまだ薄明るく、確実に陽が長くなっているのを知る。いつの間にか、もう冬ではないのだった。
私はテレビもつけずにひとりで黙々と春野菜のサラダを食べた。大根とキャベツは甘く、春菊はほろ苦い。ちょうど春になりかけのこの陽気のように。甘いのとほろ苦いのが混じった春の味を、胡麻だれがひとつの味にまとめていた。
熱は七度ちょうどまで落ちていた。私はまだまだ眠れそうだった。明日の朝にはもしかしたら、桜のつぼみもほころんできているかもしれない。もし仕事が早く終わったら、今度は菜の花を買って帰ろう。苦みばしった菜の花を、芥子醤油で和えてみよう。
エアコンを消したら、風の音が聞こえてきた。吹き荒れる風はきっと少しはあたたかいに違いなかった。
2005.3.21
自家製胡麻だれレシピをおすそ分け
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