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『高校時代の文集について』
高校の国語の授業で、少し変わった課題があった。
「800字詰めの原稿用紙一枚に、テーマに沿った文をかくこと」
形式は、詩でも小説でもエッセイでもよく、800字の原稿用紙が埋まっていれば、何編の作品に分かれていても良かった。だから、200字を使って詩を作り、残り600字で小説をかく人もいたし、800字まるまるエッセイをかく人もいたと思う。
月毎に出されるテーマは様々で、「流れの話」「雨の話」「走る話」「みどりの話」「あたらしい話」など・・。形式はどんなでも良いから、必ずテーマにまつわる話をかくことになっていた。
先生は、集まった作品を選りすぐって毎月15編前後の小さな文集にして配ってくれた。
その作品集を読んで、生徒はいくつでも、自分が好きだと思う作品についての感想をかく。文集は匿名で作られていたので、生徒は読んでいる作品が誰の手によるものか知ることはできない。感想自体も無記名でかいた。
そうしてかかれた感想は、ひっそりと作者の元に届けられる。
そういう授業だった。
私は、この授業が好きだった。
私の作品が、文集に載ることもあったし載らないこともあった。いずれの時も、本当に楽しみだった。課題が出されること、文集が配られること、もし自分の作品が載っていたら感想が届けられること、全てが。
課題が出されると、テーマからどんな文章をかいていこうか考える。自分がかく順番ではない時は(確か二年生になってからこの課題は、出席番号奇数偶数に分かれて隔月毎になった)人がそのテーマで何をかくのかが楽しみだった。 |
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