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『指鉛筆』
このホームページのタイトルが、なぜ「指鉛筆」なのか、最初なのでかいてみたいと思う。
ゆびえんぴつ。
そういう表現は使わなくても、多分どんな人でも一度は経験があると思う。
寒い冬の日、外気との温度差で曇って白くなったガラスに。沸きたてのお湯を張った風呂場の鏡に。あるいは公園の砂場、海際の砂に。
ーー指で落書きーー。
時間が経てば跡形もなく消えてしまうけれど、だからこそすごく楽しくて、かくだけで満足した。かたちに残すことではなくて、かくこと自体がとても楽しかった。
こどもの頃の、ゆびえんぴつ。
大人になって、私はいつの間にか、かたちに残らないことなど重要じゃないと思うようになっていた。
文章をかくことは大好きだったのに、ずっとかき続けたいと思っていたのに、そのうち毎日の仕事や雑事に追われ、〆切りのない文章をかく時間を取らなくなってきた。
それでも文章をかく機会をいただいているうちは良かった。その機会もなくなり、気付いたら一年以上もまともに文章をかいていなかった。かくことが大好きで、かいているだけで幸せだった自分が。
仕事でも私生活でも、ものすごく忙しい毎日が過ぎて、ふと一息ついた去年の年末、私は気付いてしまった。かくことをしていない自分は、ただ毎日を惰性で過ごしているだけだった、きちんと生きてはいなかった、ということに。
もう一度、ちゃんと文章をかく人になりたい。かき続けたい。
そんな私が、「とにかくかきたい、かくだけで良い」と思って始めたから、このホームページは「指鉛筆」と言う。
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