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『白日夢』
会社を辞めてから2ヶ月が過ぎた。
日毎に眠る時間が増えていく。狭すぎる家の中から一歩も出ない日が増えて、時間だけがものすごい早さで去っていく。
昼と夜の境がなくなっていく。夢と現の境もなくなっていく。
一日がこんなに早く過ぎることを私は知らなかった。
私は何かを待っていた。
何を待っているのか自分自身でもわからなかった。
また同じ人の夢を見ている。
今日は天気が良いらしい。まぶたの外に白いひかりが満ちているのを、私は感じていた。
眼が覚めてるのをとめてしまいたかった。
どうして眼が覚めた途端に、夢は零れ落ちていくのだろう。ここのところ毎日夢に出てくる人が誰なのか、私は結局わからない。
目覚めかけた私はやわらかい午後の陽射しの中で薄汚れた肉体として呼吸している。
透き通ったあお色が眼の端に飛び込んできたとき、一瞬私はまだ夢の続きを見ているのかと思った。
ああ違うあれはパソコンの色だと気付くのと同時に今まで見ていた夢が海の夢だったことにも気付いた。
昔大好きだった人と、淡くて深いあお色の、海を眺めている夢。
1ヶ月近くさわっていなかったパソコンの電源を入れ、メールチェックをする。 |
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